2022.06.28

クリニック開業の施設別メリット・デメリット

クリニックを開業するにあたって、まず考えるのは施設でしょう。
一般的によく見かけるクリニックの施設3パターンのメリット・デメリットをそれぞれご紹介していきます。

クリニック開業の3パターン

クリニック開業には大きく分けて3つのパターンがあります。

1)ビルテナントで開業

2)戸建て開業(医療モール以外で)

  ・土地は賃借、建物は自前で建設し所有する

  ・土地は賃借、建物は地主さんからの建て貸しなど自前では所有しない

  ・土地は購入、建物も自前で建設し所有する

3)医療モールでの開業

 

パターンごとに詳しく見ていきます。

 

1:ビルテナントで開業

ショッピングモール

 

ビルテナントで開業するメリット

 

(A)初期投資を抑えられる

人生で初めての開業を目指す先生にとって、いきなり新築・戸建てでクリニックを構えるというのは、経済面でのハードルがかなり高いもの。資金潤沢とは言えない方が大多数でしょうから、イニシャルコストが少なくてすむテナント開業は魅力的です。

B)駅前立地や大型ショッピングモールなどアクセス条件のいいエリアが選択肢に入る

駅前ビル・医療モール・大型のショッピングモールなど、条件の良いエリアが選択肢に入るのもクリニックテナント開業のメリットです。

好立地の不動産物件は人気があり、たまたま見つかったとしてもかなり高額なケースが多いですが、アクセスが良く人が多いエリアを検討できるのは、大きなアドバンテージと言えるでしょう。

(C)建物の維持管理にかかるコストが少ない

テナント物件は基本的にオーナーが建物のメンテナンスを行いますので、自己所有物件より維持管理コストも抑えられます。

建物にかかる外壁塗装や設備入れ替えなどのメンテナンス費用は100万円単位の大きな出費となるため、それらの負担が無いのは魅力的なポイントです。

デメリット悩む医者

 

ビルテナントで開業するデメリット

 

(A)電源容量や給排水などの関係で内装や設備に制限がかかるケースがある

テナント物件によっては、内装・間取り・設備などに独自の制限を設けているケースもあります。

法規制以外にビル独自の制限もあると、コンセプトや診療スタイルにマッチしたクリニックを作れない可能性も出てきます。電源容量や水圧など構造面での制限も考えられ、将来改装で設備を増やせないケースもあります。

 

(B)周囲の環境や視認性などで集患が左右される

入居している下の階に飲食店が入居したり、消費者金融などが入居している可能性もあり、クリニックとは合わない環境になることもあります。また、基本的に外観デザインを変更できないのもデメリットの一つです。

パッと見てクリニックと分かるデザインが作りにくいため、毎日の通勤などで「あそこにクリニックがあるな」と認知を取るのは難しいかもしれません。

屋外の看板設置に制限を設けているテナントもあるため、物件によってはネット集客などの工夫も必要になるでしょう。

 

(C)駐車場が確保できないケースがある

あくまでテナントの一店子なので、施設によっては満足できる駐車場スペースを確保できないことがあります。クリニックの専門科目や地域性、そしてテナントの規約などをしっかり確認しましょう。

 

クリニックパース

 

戸建てで開業するメリット

 

(A)自由度が高い

場所や設計などの自由度が高いため、院内動線や患者様に配慮したスペースの確保など、あなたの理想のクリニックを作り上げることが可能です。

 

(B)駐車場が確保できる

車で通いやすいクリニックはそれだけで有利である場合が多いです。
戸建て開業だと自由に場所も選べるので、駐車場であったり後述の拡張性なども可能です。

 

(C)拡張性がある

クリニックを運営していくにあたり、施設を拡張したりすることも、戸建て開業では可能です。将来的にクリニックが成長すると施設が手狭になったり、新たな施設を作りたいといったニーズが生まれるかもしれません。そういった場合、戸建て(自前物件)でしたらそういった将来の拡張性にも十分に対応できます。また、特徴ある外観等により、視認性・認知度を高めることも可能です。

 

戸建てで開業するデメリット

 

(A)初期費用が高い

開業全体の費用が大きくなるため、資金調達や開業後の資金繰りに注意が必要です。院外処方をする場合、近隣の調剤薬局の有無に影響を受けることがあります。また、開業までに設計や建設に日数を要しますので、開業までの準備期間が比較的長くなります。また、打合せに相応の日数を割かれることになります。

 

(B)維持費が必要になる

ビルやテナントなどと比べて、自前の物件の場合、施設の維持費や税金など、さまざまな維持費が継続的に必要になります。自由度が高い反面、責任を負う部分も多くなります。

 

クリニックモール

 

医療モールで開業するメリット

 

(A)効率的に集患ができる

クリニックの競争激化も起きている昨今の状況では、スタートアップ、つまり開業後どのくらい多くの患者さんに来てもらえるかは、開業を考える時の大きな関心事です。

高齢化社会において医療モールの開設は地域にとって大きなイベントともいえます。地域の人々からの注目も集まるのでクリニックの認知度が一層高まります。一般の開業に比べて、集患しやすいことがあげられます。

 

(B)モール内の他クリニックと連携して、より質の高い医療を提供できる

医療モールには、内科、小児科、整形外科、婦人科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科など、複数の診療科の専門医師が開業します。開業支援会社はコンサルティングを行い、開設診療科組成のために医師同士を引き合わせることにより、医療分担や診療内容の調整を行います。
身近な専門医連携によるグループ診療で、質の高い医療が提供できると共に、医師の安心感や負担軽減にも繋がります。

(C)患者さんの利便性向上

一箇所にさまざまな診療科目を持つクリニックが集まるので、複数の専門医に診てもらいたいといった状況が患者さんに起こった場合、医療モールは明らかに利便性が高いです。クリニックに通う患者さんの負担やストレスを軽減し、継続性を高める効果は、クリニック運営側はもちろん、患者さんの健康という利益に直結します。

(D)専門家のアドバイスを受けることができる

上記にもありますが、医療モールは開業支援会社が主に運営を行います。これは単に場所を提供するだけではなく、開業前から開業後のサポートまで、コンサルタントが継続的にクリニックの状況を確認し、適宜必要なアドバイスを受けることができます。新しい医療の情報や経営、そして人材確保などのあらゆる面でのサポートを受けつつ、ドクターの皆様は医療に集中して取り組むことが可能です。

医療モールで開業するデメリット

(A)モール内のクリニック同士でのコミュニケーションが図れない場合や、信頼関係が構築できない場合がある

医療モールは、いわば小さな共同体です。モール内の医師や看護師、薬剤師など施設で働く人々には対話を通じた信頼関係の構築がなければなりません。大切なのは医療モールの人間関係です。
ミズでは、こういったディスコミュニケーションなどの事態が起こらないように、お互いが日ごろから感じている医療モール内の課題を話し合うような場を設けたり、客観的で的確なアドバイスを提供することで、さまざまな問題・課題の解決に向け、一緒に歩みを進めてまいります。

(B)モール内の他のクリニックの評判が影響する場合がある

もし医療モールで開業している他のクリニックの評判が悪くなった場合、同じ医療モールで開業しているクリニック全体の評判に影響が及ぶことも考えられます。

そうならないように、ミズでは参加を予定している医師と慎重に面談を重ね、開業医としての適性などを判断し、開業後も定期的なコンサルティングにより地域の人々に評価していただける医療を提供します。他のクリニックの評判による悪い影響の波及も早期に制止するよう努めています。

 

まとめ

クリニックをどのような形態で開業するかは、診療のコンセプトや診療スタイル、資金面なども踏まえ、ご自身にあった物件を見つけることが大変重要です。

また、現在、新型コロナウイルスや円安、戦争の影響を受け、建築費が高騰していることもあり「事業承継」という選択肢も増えてきています。

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